U17日本代表・太田梛、デンソーエアリービーズU15・森谷史佳監督が求める「考える力」

U17日本代表・太田梛、デンソーエアリービーズU15・森谷史佳監督が求める「考える力」

デンソーエアリービーズU15・太田梛、森谷史佳監督インタビュー

インタビュー Others NEC 日本代表

バレーボールU15の予選で、クラブ初のU17日本代表を擁するデンソーは決勝大会への進出を逃した。

太田梛(おおた・なぎ)。将来を有望視される180センチのサウスポーは、浜松で悔し涙を流した。
「力んでしまって…もっと攻撃枚数を増やすことができればよかった」

サーブでも狙われた。しかし、現代バレーに求められているプレーを太田は確実にこなしていた。
「セッターにきれいに返せなくても、カバーできる範囲にあげることはできたと思う」

監督の森谷史佳が選手に求めているのは「考える力」だ。

■チームを作る難しさ

9月12日、13日にバレーボールジュニア大会が浜松アリーナで行われた。
「2026 SV.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP」女子予選だ。
全国から29チームが集い、4チームが11月の決勝大会へ進む。
初日にグループ戦を行い、上位チームがトーナメント戦へ。両日で準々決勝まで進行した。

デンソーエアリービーズU15は初日を1勝2敗のグループ3位で終え、トーナメント、ならびに決勝大会進出はならなかった。
それでも4月から指揮を執る森谷史佳監督のチームづくりと、U17日本代表の太田梛の存在感ははっきりと見えた。

「チームを作る難しさを感じています」

森谷監督は、率直な感想を口にした。

「練習ではできているはずのことが、試合になるとできなくなる。自分自身がプレーするわけではないので、そこが難しい。指導する立場としては、もう少し詰めた練習が必要になってくるのかな、と」

チームが目指しているのは、サーブで攻める姿勢だ。今大会でも、多くのチームに共通して見られた意識である。ジュニア年代にも、その考えは確実に浸透しているようだ。

「去年、自分も決勝大会を見に行かせてもらいました。そこで改めて、サーブとサーブレシーブが本当に大事だと感じました。だから今年は特に、サーブとサーブレシーブに力を入れてやってきました」

■バレーは一人ではできない

このチームには、注目の選手がいる。サウスポーのオポジット、太田梛だ。中学3年生にして身長は180センチ。監督の森谷と並んでも、わずかに上回る。

彼女が注目される理由は、8月にチリで開催されたU17世界選手権の日本代表に選出されたことにある。エアリービーズU15からアンダーカテゴリーの日本代表が出たのは、クラブ初だった。

チームの中で、彼女はどのような存在なのか。森谷は「本当に頼もしい存在です」と前置きしたうえで、こう続けた。

「でも、そこまで行き着くまでに、みんなが拾って上げているから打てる、という面もあります。本当に良い選手なので、どうしても彼女に目がいきがちですが、周りの選手が貢献しているのが大きい。繋いで最後は彼女に打たせるところを我慢強くやっていたと思います」

チームのポイントは他にもある。誰がトスを上げてもスパイカーが生きるボールを供給することだ。そして最後の一点を全員で決め切るためにしっかりフォローに入る。そうした部分を、徹底して練習してきたという。

「彼女がアンダーの世界選手権に行っている時も、日本で合宿に行っている時も、他の選手でどう点数を取りに行くかということをやってきました。彼女が活躍できるのも全員の頑張りがあってこそだと、すごく感じています」

森谷が選手に期待しているのは、「考える力」を持つことだ。

「やらされるバレーではなく、いろいろな発想を持って欲しいですね。必ずしも3回で返すだけじゃない。2回で打つとか、フェイクセットのように男子がやっているようなプレーも、積極的にやってもらいたいですね。決めつけないというか、自由な発想でプレーするバレーができたらと思います」

■苦しいときこそ自分から発信する

「いつもより声は出ていたと思います」

大会初日を終えた太田梛は、自身のプレーをそう振り返った。

大人顔負けの体格とはいえ、まだ中学生だ。表情にはあどけなさが残る。言葉を探すように、少しずつ続ける。

「練習の時より声は出ていました。身長もあるし、自分に持ってきてほしい、という気持ちを持ってプレーしていたと思います。ただ今日はちょっと力んでしまって、それを生かせない場面が多かった。攻撃の枚数を増やして相手を崩して、もう一度チャンスが来るようにしたかったなと思います」

どのように話せばよいか、戸惑いもあるだろう。それでも言葉の端々から現代バレーに対する理解力や解像度の高さがうかがえる。

デンソーU15のグループには他にNECレッドロケッツ川崎U15、ヴィクトリーナ姫路U15、ヴィアティン四日市U15がいた。
この中ではヴィクトリーナ姫路U15の圧倒的な攻撃力が白眉だった。姫路は全勝で1位抜けをした。
デンソーU15はグループ2位でのトーナメント滑り込みを狙ったが、最終戦でヴィアティン四日市U15に14-25、22-25で敗れ、決勝大会進出を争うトーナメントの席を譲ることになった。
2日目は敗退チーム同士の交流戦に回った。

予選グループで各チームは明らかに太田を警戒していた。
サーブで攻撃参加を阻み、プレーを封じてくる。
それでも太田は、ダイナミックなスパイクや高さのあるブロックで見せ場をつくっていた。

奮闘はしたものの、結果が伴わなかった。
自身の力不足を痛感して、言葉を探しながら話す。

「課題はメンタル面ですね。本番になると緊張して、さっき言ったみたいに力んでしまうので。繋ぐ意識を高めてチームメイトとコミュニケーションをとることが大事なんだと実感しています。
負けている時こそ自分から発信して、『持ってこい』とか、プレー中に仲間を励ます声を出していきたいです」

サーブターゲットになっている自覚もあった。

「サーブで狙われて、そこから自分が攻撃に参加しにくくなってしまったと思います。悔しいです」

守備は悪くない。全身を使って器用にサーブレシーブをこなす姿が印象に残っている。

「ボールを触るタイミングは合っているので、セッターのところにきれいに返らなくても、カバーできる範囲には上げられているんじゃないかなと思います」

Aパスだけがすべてではない。現代のバレーに求められることを、中学生にしてすでに理解しているようだった。

■年上のコートに、上下関係はなかった

U17日本代表に選出されたときの感想を聞くと、表情が少し緩む。

「選ばれた時は本当に夢みたいで、めっちゃ嬉しかったです」

選出は、デンソーエアリービーズのアカデミーコーチである山口祐之氏から伝えられたという。

U17で印象に残ったのは、周囲のフラットな関係だった。

「コートの中に入ると、上下関係が全然なくて。先輩たちは自分らしくプレーできていました。だからデンソーでも、もっと自分から動いて、3年生が中心になるとは思うんですけれども、みんなのチームをつくっていきたいなと思います」

U17で学んだことを、すでにチームへ発信できているのか。問いかけると、控えめに答えた。

「そんなにはできていないんですけど、『ここはもっとこうした方がいいんじゃないか』みたいなことは、たまに言っています。さっきのタイムでも話したんですけど、スパイクは1本で決めようとするんじゃなくて、相手が取りにくいコーナーを狙ったり、ブロックを使ってアウトに出したり、そういうことも言っています」

デンソーでは、楽しくバレーをすることを大切にしているという。3年生となり、この大会は自身3回目。成長も実感している。

「打点が高くなって、攻撃の決定率も上がったと思います。ディグやレシーブでも、自分が後ろからチームを守る、という部分は今までよりもできているんじゃないかなって思います」

■憧れは和田由紀子

目標とする選手も聞いた。

「自分の理想は和田さんです。あんなにスラッとしているのに高く飛べて、自分より体格のある選手に対しても高い打点から攻撃できる。サーブにもあこがれています。U17の大会でも全力でサーブを打ってみたんですけど、あんなスピードを出すのは難しいなって実感しました。和田さん、めっちゃ好きです。将来的には和田さんみたいな選手を目指したい。和田さんとか、石川真佑さんに憧れています」

最後に、自身がなりたい選手像を聞いた。

「チームの中心に立って、コートに立つ。チームに貢献できる選手になりたいです」

森谷監督が求める「考える力」と、それを体現しようと努力する太田梛。
決勝大会には進めなかったが、デンソーエアリービーズU15がこれから積み上げていくべきもの。その輪郭は見えた。

堀江丈

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