いつもと違うスタメン、その中で果たしたリベロの責任。山本智大が語るベルギー戦の舞台裏と「個の力」への信頼 VNL

いつもと違うスタメン、その中で果たしたリベロの責任。山本智大が語るベルギー戦の舞台裏と「個の力」への信頼 VNL

山本智大談話

会見・コメント 全日本代表 男子 大塚達宣 山本智大 小川智大 日本代表

バレーボールネーションズリーグ(VNL)、ベルギー戦を終えたミックスゾーン。いつもとは異なるスターティングメンバー、特に若手の甲斐優斗がスタメンに初起用されるという、チームにとっても大きな挑戦の詰まった一戦を終え、リベロの山本智大が取材エリアに姿を現した。甲斐優斗は攻撃力は素晴らしいものがあるが、ディフェンス、特にサーブレシーブ(レセプション)にはまだ若干日本代表の水準に達していないところもある。

ディフェンスの要として、常にコート内をコントロールする男の言葉には、勝利の安堵感とともに、日本代表がさらに強くなるための確固たる手応えが滲んでいた。

■初めての組み合わせ。「甲斐の攻撃力を活かすため、僕と大塚で粘る」

「いつもと違うスタメン、特に甲斐選手が入った中でのサーブレシーブの割り振りやカバーは大変だったのでは?」と問うと、山本は少し表情を緩ませながらも、プロフェッショナルとしての冷静な分析を語った。

「そうですね、この2人(大塚達宣・甲斐優斗)の組み合わせも初めてだったので、正直難しい部分もありました。でも、甲斐は本当に攻撃力がすごくある選手なので。そこを活かすためにも、極力僕と大塚で頑張ってパスを粘ろう、と話していました」

対戦相手のベルギーは、非常にサーブの良いチームだった。実際にサービスエースを奪われる場面もあったが、山本は「最小限に抑えられましたし、(人と人の)間(あいだ)のボールとかもなんとかセーブできた」と振り返る。 「そこからハイボール(二段トス)で甲斐が決めきってくれたりしたので。誰かの調子が悪くてメンバーが変わる時というのは今後も絶対にありますし、そういった意味で、今日は非常に重要な試合でした。日本が勝つために『いつものスタメン』だけじゃなく、いろんな選手の力が必要。その中で、きっちり勝てたことは非常に良かったなと思います」

■切磋琢磨するライバル・小川智大との関係
前日の試合では、同じくリベロの小川智大選手が素晴らしいディグ(スパイクレシーブ)を連発し、チームを盛り上げていた。漢字まで同じ「智大(ともひろ)」の名を持つ、最強のライバルからの刺激について尋ねられると、山本は厚い信頼を口にした。

「(小川智大選手とは)お互いにやれることはもう分かっていますし、ライバル視するというよりは、2人で良いものを作り上げていければいいなと思っています。次の試合はきっと彼がやってくれる(活躍してくれる)と思っています

お互いを認め合い、高め合う。この世界トップレベルのリベロ2人が控えていることこそが、日本代表の最大の強みであることは間違いない。

■絶妙な二段トス。「甲斐の打ちやすいところへピンポイントで」
試合中、ファーストタッチ(1本目)が低くなってしまった場面で、山本がファーサイド(遠い位置)へ見事なアンダーハンドでの二段トスを上げ、それを甲斐が決めきるという、リベロの技術が光るシーンがあった。

「あの場面は、(大塚)達宣選手が1本目を低く上げてしまったので、僕が声を出して上げにいきました。甲斐の欲しいトスというか、打ちやすいところに持っていければいいなと思って上げたのですが、ピンポイントで合わせることができた。非常に良い1本だったなと思います」

単にボールを拾うだけでなく、スパイカーが最も力を発揮できるトスを提供する。その精度の高さが、苦しいラリーをモノにする鍵となった。

■スタメンが違っても、やるべきことは「シンプルなコミュニケーション」

この日はいつもとスタメンが大きく異なっていたため、選手たちの感覚にも多少の影響があったという。しかし、山本はリベロとして、チームを落ち着かせることに徹底していた。

「スターティングメンバーがいつもと違っていたので、パスの連携であったり、コート内でのコミュニケーションであったり、そういった『シンプルなこと』を徹底してやるように意識していました。ベルギーは本当に素晴らしいプレイヤーが揃っている良いチームでしたけど、相手のランキングが上とか下とかは関係なく、僕たちの持っているものを出そうと」

相手の2番・レゲルス選手による強力なサーブに対しても、チーム全員で対応。 「今日は大塚選手が良いタッチ(ワンタッチ)を取ってくれたり、良いパスを返してくれた。そこはナイスプレーでしたね」と、共にコートを守った大塚を称えることも忘れなかった。

最後に、スタメンとして大役を果たした若き大砲・甲斐優斗について話を振られると、山本は「あいつは、内に秘めているものが非常に多いですし、良いポテンシャルも持っている。今はまだ試合(スタメン)に出る機会は多くないかもしれないですけど……」と、これからの日本のバレー界を背負う後輩へ、期待を込めた温かい眼差しを向け、ミックスゾーンを後にした。

(2026年7月、VNLベルギー戦後のミックスゾーンにて。取材・中西美雁)

写真:火野千鶴

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