「相手が油断した瞬間に打たせる」髙橋藍が魅せたフェイクセットの真意と、ロサンゼルス五輪切符へ王手をかけた強い覚悟

「相手が油断した瞬間に打たせる」髙橋藍が魅せたフェイクセットの真意と、ロサンゼルス五輪切符へ王手をかけた強い覚悟

髙橋藍 アジア選手権 準決勝韓国戦コメント

会見・コメント 全日本代表 男子 西田有志 髙橋藍 日本代表


VolleyballWorld

9月12日、2028年ロサンゼルス五輪の出場権獲得がかかる「バレーボール男子アジア選手権」準決勝。日本代表は、準々決勝で中国を破り勢いに乗る韓国と激突。激しいラリーの応酬となったものの、序盤からギアを上げた日本がセットカウント3-0のストレート勝利を収め、決勝進出とパリ五輪に続くロス五輪切符へ王手をかけた。

この日、攻守にわたって圧巻の存在感を示したのがアウトサイドヒッターの髙橋藍だ。持ち前の安定した守備はもちろんのこと、要所で見せるサーブ得点、会場をわかせたフェイクセット、そして攻撃。

「中国と当たると思っていた」予想外の相手にも見せた抜群の精神的アジャスト

試合後のミックスゾーンで、髙橋は対戦相手が決まった際の率直な心境を明かした。

「正直、自分たちも準決勝は中国と当たるんだろうなと思っていました。でも、その中国をフルセットではなく3-1で倒してきたのが韓国だった。だからこそ、相手へのリスペクトを持ちつつ、気持ちの準備もしっかりできていました。相手の様子を見るのではなく、1セット目のスタートからギアを上げて自分たちのバレーを出し切れたことが勝利につながったと思います」

予想外の対戦カードであっても浮足立つことなく、しっかりと警戒レベルを上げて臨んだことが、ストレート勝ちという最高の結果を引き寄せた。

「西田選手なら決めてくれる」――助走なしの場面で見せた信頼のフェイクセット

試合中、会場を大きく沸かせたのが髙橋藍によるフェイクセット(スパイクを打つふりをして自らトスを上げるプレー)の場面だ。相手ブロックの意識が自らに集まる中、トスを供給したのは右サイドの西田有志。しかし、その時西田はほとんどスパイクのための助走に入っていない状態だった。

あえてそのタイミングでトスを上げた意図について、髙橋は明快に明かす。

「あそこはあえて(西田選手に)上げました。西田選手がほとんど助走に入れていなかったからこそ、相手のブロックもマークを緩めてついていなかったんです。『西田選手だったら、あの(助走がない)状況からでも絶対に決めてくれる』という確信があったので託しました」

スパイカーの決定力と相手の油断を瞬時に読み切った、まさに髙橋藍ならではの高度な思考と信頼関係が生み出したファインプレーだった。

「サーブは自分自身の力」――第3セットの被シャットアウトから見せた自責と反撃


サーブを打つ髙橋藍  撮影:坂本清

第3セット序盤、韓国の粘りに遭いリードを許す苦しい展開となった。そのきっかけの一つに自らのスパイクがシャットアウト(ブロック)されたことを挙げた髙橋は、その直後のサーブで自ら流れを引き戻してみせた。

「(シャットアウトされた場面は)自分自身に責任があると感じていました。だからこそ、そのミスを『取り返せる』のがサーブだと思っています。サーブは誰にも邪魔されない自分1人の力ですし、自分の力で試合展開を変えたり、ブレイクポイントに繋げられる。今日はショートサーブを織り交ぜながら、チーム全体としてもサーブへの高い意識を持ってプレーできていました。だからリードされても焦ることはなかったです」

その言葉通り、髙橋の鋭いサーブとショートサーブの巧みな使い分けによって韓国のレシーブ陣を崩し、日本は瞬く間に逆転に成功。ストレート勝ちへと一気に押し切った。

「ショートサーブか強打サーブかはアナリストからの相手のシフトの情報や、リベロからの情報、自分で見ての判断、その上でフィーリングですね」と笑顔で答える。

決勝の相手・イランへ「どんな相手でも、自分たちの最高のギアを出す」

いよいよ残すは、アジア王者とロサンゼルス五輪出場権をかけた決勝戦のみ。対戦相手は、ネーションズリーグでも熾烈な戦いを繰り広げた強豪・イランだ。

今大会の頂点を見据え、髙橋の表情は一層引き締まる。

「相手がどこであろうと、どんなメンバーで来ようと、自分たちのやるべきバレーは変わりません。僕たちが目指しているのはここで優勝することであり、それがロサンゼルス五輪へと直結しています。決勝では、今大会で一番大きなギアを入れ、スタートから自分たちのバレーを全開でぶつけて勝ちにいきます」

冷静な戦術眼と、コート上で放つ圧倒的な熱量。頂点に手をかける準備は、すでに整っている。

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