
学校体育館断熱プロジェクト実行会議(事務局:公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES))は、「スポーツの日」を目前に控えた10月6日(火)、バレーボールなど国内6競技団体やトップアスリートらとともに「脱!サウナ体育館プロジェクト」のローンチイベントを都内で開催しました。
近年猛暑が深刻化する中、公立小中学校の普通教室におけるエアコン設置率が99.6%に達しているのに対し、体育館等への設置率はわずか31.7%にとどまっています。「子どもたちが安全にスポーツを楽しめる環境整備」と「災害時の指定避難所としての機能強化」を目指し、空調だけでなく「断熱」を組み合わせた環境改修を全国で推進していく取り組みです。
衝撃の調査結果:空調のない体育館では「失われた練習時間」が約4倍に
プロジェクト始動に伴い実施された指導者向け調査「消えた夏練実態調査」では、酷暑下での衝撃的な実態が浮き彫りとなりました。
•失われた練習時間:空調のない体育館では、暑さによる中止や短縮で「失われた練習時間」が月平均8.3時間に上り、空調ありの体育館(平均2.1時間)の約4倍を記録。
•危険な室内環境:空調のない体育館の46%が室温35℃以上を計測(40℃以上も報告あり)。指導者の50%が「このまま続ければ命に関わる」と危機感を募らせ、63%が熱中症対応を経験しています。
•深刻な地域格差:東京都の体育館空調設置率が95.6%に達する一方、佐賀県では0.8%にとどまるなど、住む地域によって競技環境・避難環境に著しい格差が生じています。
アスリートたちが語る「暑かった体育館」の記憶と危機感
イベントにはバドミントンの元世界王者・桃田賢斗選手(NTT東日本)らが登壇。真夏でも窓を締め切って練習せざるを得ないバドミントン特有の過酷な環境や、高校時代のインターハイで脱水症状に陥り意識が朦朧とする中で敗れた苦い原体験を明かしました。
桃田賢斗選手
「暑さで思うようなプレーができなかったり、練習自体が中止になってしまったりするのは本当に勿体ない。子どもたちが自分の夢に向かって全力を出し切れる環境が整ってほしい」
ゲストコメント(バレーボール元日本代表・大山加奈氏)

本プロジェクトの立ち上げに際し、バレーボール元日本代表の大山加奈さんから寄せられたコメントは以下の通りです。
「私自身、幼少期から夏場の体育館での練習は熱中症との戦いであり、集中力を保つことすら難しい過酷な環境でした。近年は昔とは比べものにならないほどの猛暑が続いており、体育館がまさに『サウナ』化しています。
スポーツは子どもたちの心身を育む素晴らしいものですが、命の危険を感じながら行うものであってはなりません。また、地域の方々にとっても体育館は災害時の命を守る避難所です。『断熱と空調』の整備が進み、誰もが安心してスポーツを楽しみ、防災拠点としても機能する体育館が増えることを強く願っています」
——体育館の暑さはパフォーマンスにどう影響しましたか?
「発汗によって体の水分やミネラルが不足し、自分自身やチームメイトの足が攣(つ)ってしまうことがありました。また、集中力も切れてしまいますし、暑さというのは自分やチームが最大のパフォーマンスを発揮することが難しい状況であると感じています」
——今後どのような環境になっていくことが望ましいですか?
「空調ならびに断熱が施された体育館が『当たり前』になることを望みます。いつでもどこでも、持っている最大限のパフォーマンスが発揮できる環境があること、そして安心安全に運動ができる環境があることが当たり前になってほしいです」
——Vリーグ「アルテミス北海道」のゼネラルマネージャー(GM)就任への抱負をお聞かせください。
「北海道の皆さんからさらに愛され、応援してもらえるようなチームにしていきたいです。そして、地元の皆さんと地元企業、あるいは北海道と全国の皆さんを繋ぐハブのような存在にチームを育てていきたいと思っています。そのためにも、まずは選手たちが安心してプレーし、チャレンジできる環境をしっかり整えていきたいです!」
大山加奈さんプロフィール
元バレーボール日本代表 / スポーツキャスター・解説者
1984年6月19日生まれ、東京都出身。成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)卒業後、東レ・アローズに入団。
小学校2年生からバレーボールを始め、小中高すべての年代で全国制覇を経験。高校在学中の2001年に日本代表に初選出され、アテネオリンピック(2004年)、世界選手権、ワールドカップなど三大大会すべてに出場し、日本を代表するプレーヤーとして活躍。
現役引退後は、講演活動やメディア出演など多方面で活躍。キッズコーディネーショントレーナーの資格を取得し、子どもたちの育成に力を注いでいる。
「断熱×空調」で目指すサステナブルな体育館へ
プロジェクトでは、単に空調を導入するだけでなく、「冷やす前に熱を入れない」断熱整備をセットで進める重要性を提言しています。電気代やCO2排出量を抑えながら、夏は涼しく冬は暖かい、持続可能な体育館づくりを官民連携で後押ししていく方針です。